対象疾患
・腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に伴うmodic 変性(椎体の骨髄異常病変BML)
・腰椎椎間板症に伴う高輝度領域(high intensity zone : HIZ)
・腰椎椎間関節症 後ろに反らしたときの痛み
・仙腸関節症 ぎっくり腰の原因の一つ
・腰椎分離症(初期から終末期)や腰椎疲労骨折
概要
一般の方或いはスポーツ選手の腰痛の原因には、さまざまな病態が関与している。大きく3つから4つに分けられる。
①腸腰筋や大腿筋膜張筋や腰方形筋、殿筋などの筋肉由来の痛み(筋筋膜性腰痛)
②椎間板由来の痛み(椎間板性)
③椎間関節や仙腸関節などの関節由来の痛み
④腰椎分離症(疲労骨折)など分離部分の痛み
当院での治療方法
①に対しては理学療法で筋緊張を改善させたり、体幹筋を強化することで改善されることが多いですが、慢性的な筋緊張が続いている場合 実際なかなか理学療法だけでは改善しないことが多いため,その様な時に使用する物理療法が拡散型圧力波や高電磁波誘導器SISです。SISで筋肉に直接作用させて筋収縮を誘導したり、筋肉の柔軟性を拡散型圧力波で改善させることができます。その結果緊張して硬くなった筋肉が容易にほぐれます。
②に関して、MRIで椎間板ヘルニアや椎間板内にHIZといって痛みの原因の所見があれば その部位に直接体外衝撃波治療を行い 優れた疼痛改善効果が得られています 特に椎間板ヘルニアは3ヶ月もすれば縮小してくることがわかってきており、その3ヶ月間が過ぎれば一般的に痛みの改善も得られてきます。その3か月如何に対応するかが重要です。
③④に関して、関節の痛みや疲労骨折部分には体外衝撃波治療が他の部位でも有効であることが知られていますが、腰椎疾患に関しても例外ではありません。腰椎分離部分の痛みや椎間関節性の痛みや仙腸関節性の痛みには体外衝撃波治療が非常に有効です。
また腰痛症は様々な病態が重なり合っているいわゆる症候群であることが多く、リハビリだけでなく上記の物理療法機器を病態に合わせて重ねて行うことで、より早く確実にスポーツ復帰や日常生活復帰ができます。
当院では 絶対に手術をしたくない、ステロイドなど副作用などがある薬を利用するブロック注射などできるだけ受けたくはない、他の医療機関で治療するもなかなか改善しない方には、有害事象や副作用などがほとんどないリハビリと組み合わせたこれらの体外衝撃波治療や拡散型圧力波治療や高電磁波誘導器(岸和田本院のみ)を使用した当院のこれらの新しい治療の組み合わせを是非実感して下さい。当院で改善しない腰痛はどこへ行っても治りません!と言い切れるかもしれません!
症例供覧
症例1
病名:腰椎椎間板ヘルニア、腰椎分離すべり症
【医学的情報・理学療法評価】
46歳 男性 柔道
MRI:L4/5ヘルニアとHIZあり
疼痛:腰部~右臀部 前屈時痛あり 感覚障害:なし
ROM(右/左):股関節屈曲100/105、伸展5/10、内旋25/30、SLR70/75
【リハビリ施術内容】
理学療法①股関節屈曲、伸展可動域訓練②ブレーシング③ペルビックチルト④多裂筋エクササイズ
【臨床経過】
初回時の主訴としてはお風呂上がりや歩行時に疼痛あり、NRS8。
体外衝撃波治療は2回実施、その後はNRS5に改善。
症例2
病名:腰椎椎間板症
【医学的情報・理学療法評価】
58歳 女性 元保育士(去年退職し現在は主婦。母親の介護を行っている)
MRI:L5/S HIZあり
疼痛:腰部~左右臀部 前屈時痛、歩行時痛あり 感覚障害:なし
既往:両変形性股関節症に対して2024年9月10日に左、9月24日に右にAPS施行
ROM(右/左):股関節屈曲95/105、伸展-5/-10、内旋10/15
体外衝撃波治療:L5/S右から1回、左から2回
【リハビリ施術内容】①股関節屈曲、伸展可動域訓練②ブレーシング③骨盤後傾エクササイズ
【臨床経過】
初回実施前、歩行時にNRS10でより右側に疼痛が認められたため右側より照射。
NRS10→5に軽減(右側の疼痛はほぼなし。左に残存)
その後経過としては、右側腰部痛は主観的に気にならない程度をキープしている
その後体外衝撃波治療2回、左側より照射。直後は気にならない程度(NRS0~2)に改善が認められたが、経過としてはNRS2~5を推移している。
症例3
病名:腰椎椎間板ヘルニア
【医学的情報・理学療法評価】
14歳(中学2年生)男性 バレーボール選手(セッター)
MRI:L4/5とL5/Sヘルニア
疼痛:腰部、臀部 座位保持痛 感覚障害:左下肢にしびれあり(L5神経領域)
SLR50°(痺れ+)
→3回体外衝撃波治療(L4/5左から3回)実施後80°(痺れ消失)
【リハビリ施術内容】
①股関節屈曲、伸展可動域訓練(ハムストリング、多裂筋のタイトネスの改善)②腹圧向上エクササイズ(ブレーシングなど)
【臨床経過】
リハビリ初回から座位時の腰部痛と左下肢の痺れを認め、リハビリ開始。
FFD15cm 。SLR50°で痺れ。長母指屈筋筋力低下。L4.5領域での左下肢に痺れを認めたため体外衝撃波は左に実施。初回衝撃波後からSLRでの痺れと疼痛の改善が見られ、3回実施後は80°まで改善し、痺れと疼痛どちらも消失。座位時の腰と臀部の張り感は残存しているためリハビリではハムや多裂筋などのタイトネスの改善と腹圧のエクササイズなどを中心に実施している。
症例4
病名:腰部脊柱管狭窄症
【医学的情報】
73歳 男性 立ち仕事
MRI:腰椎のMRI:L4/5脊柱管狭窄症、L4/5の椎体にmodic change、L1/2 L2/3にもmodic changeを認める。
【理学療法評価】
右股関節外側~下腿外側、小趾にしびれ、右股関節外側(大転子周囲)疼痛の訴え
前屈P+ 後屈P+ 右回旋P+ 左回旋+P ケンプテスト+
SLR40°P+(しびれあり)ROM:右股関節屈曲110° 伸展5° 内旋20° 外旋20°
MMT:右股関節伸展3 体幹屈曲3
体外衝撃波治療(L4/5左から)とSIS並行して3回実施
【リハビリ施術内容】
股関節ROM 坐骨周囲リリース Hipリフト ドローイン CAT&DOG
【臨床経過】
初回実施時(1/20)NRS10→4 2回目実施時(2/4)NRS6→4 3回目実施時(2/18)NRS6→5
歩行、階段時の疼痛が減少。夜間痛が強く寝れない日が続いていたが寝れるようになった。
症例5
病名:腰椎椎間板症
【医学的情報】
65歳 女性 薬剤師 趣味:ゴルフ
MRI:L4/5椎間板ヘルニア、L4/5にHIZ
【理学療法評価】
左腰部~左下腿後面しびれ、左L4~S1疼痛の訴え 前屈P+ 疼痛はないがつっぱる 後屈P- 右左回旋P- ケンプテスト+ ROM:両股関節屈曲120° 伸展5
MMT:体幹屈曲3 股関節伸展3/3 外転3/3
体外衝撃波治療(L4/5左から)とSIS並行して3回実施
【リハビリ施術内容】
股関節ROM Hipリフト クラムシェル ヒップアブダクション ドローイン
CAT&DOG
【臨床経過】
初回実施前(2/5)NRS10 2回目実施前(2/18)NRS5 3回目実施前(3/14)NRS3
現在、左腰部~左下腿後面しびれ消失、左腰部伸張感消失
ゴルフ、日常生活制限されることがなくなった。